Consultation case
まず従業員が既に退職していても、会社に退職金規定があれば、従業員は退職金を請求することができます。
しかし、退職金を従業員がいつでも請求できるわけではなく、退職金の請求権については、所定の支払い日から5年で時効により消滅します。
残業代を請求する権利は給料の支払日から起算して「3年」で時効により消滅しますが、退職金は、5年ですので、注意してください。
「退職してからも厄介事を持ち込んで、本当に迷惑だ。」という経営者の方のボヤキが聞こえそうですが、法律上の権利として発生してしまう以上、対処をせざるを得ないのが実情です。
ただ、実感として、「従業員が退職してしまってから退職金を請求された」とご相談に来られる場合と、「従業員が退職すると言っているがどうしたらよいか。」とご相談に来られる場合ですと、前者の方が、会社の負担は大きくなっている印象です。
というのも、前者はたいてい、経営者の方と従業員との間で、最悪の決別の仕方をしているケースが多く、従業員側も「許せないからとことん会社から絞りとってやる。」と思っている場合が多いからです。
それに対し後者の場合は、最悪の事態となった場合の退職金請求だけでなく残業代請求のリスクなど、事前に聞いているため(その場では、やり場のない不満や怒りなどを打ち明けられますが)、会社側としては、従業員に無用な反感を与えないよう、冷静かつ円満に対処し、場合によっては退職合意書などを作成してあとから請求されるリスクを軽減することができるからです。
感情だけでは経営は成り立ちません。
余計な費用負担、精神的負担を負うリスクをとるより、早めにご相談いただき、場合によっては、従業員に対する怒りを私たちが傾聴し、少しでも私たちに向けて心情を吐露し、解消いただくことで、無用なリスクを避けることができると思っています。